同じ病気だった人

普段は見ない新聞のお悔やみ欄に彼女の名前を見つけた。

同じ急性リンパ性白血病でもPH+の人は少なく、入院している中では私の10日ほど後に入院してきた67才の女の人が唯一同じタイプだった。学生さんからそんな情報を得ていたのでずっと気になっていた。

その人は入院してきた当初体にダメージがあったためか、個室に1ヶ月以上入院されていたので2ヶ月後に同じ病室になるまで会ったことがなかった。

よく喋る痩せ型の元気な人だった。情報交換しようと思って話しかけても病気のことは全く理解してなく重い病気にかかっている自覚もないようだった。

3年間練習してきた長唄の発表会があるからどうしても外泊してそれに出るという。

どれくらい大切な発表会なのかを医者や看護士に訴えても聞いてもらえずパニックになっていた彼女。病気優先の病院側は彼女の要望を理解できずにいたので彼女には病院の決まりを説明し、医師には彼女の希望を代弁した。何とか双方に理解してもらい無事発表会に出ることができて彼女は喜んでいた。

タイプが同じなので似たような治療だと思っていたがその人の治療は、抗がん剤も造血幹細胞移植も行わないものだった。体が治療に耐えられないだろうと言うこと。おそらく分子標的薬スプリセルの服用を中心の治療だったと思う。違う病院に転院された7月以降会ったことが無かった。
実のところこんなに早く亡くなるとは思ってみなかった。

ご冥福をお祈りします。

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3匹時計回り